突然だが私は新聞配達のバイトをしている。
深夜皆が眠っている間にバイクを走らせ、アパートの階段を駆け上がってポストに新聞を突っ込む。
労働環境はそれほど悪くないと思っている。
ただ一つ面倒くさいことを挙げるとすれば、それは配達員も新聞の契約をしないといけないことだろう。


正確に言うと契約は義務ではない。
別に契約しないからといって解雇されるわけでも、いじめられるわけでもない。
ただ単に「あー、そうですか。契約しないんですか」という目で見られるだけだ。
新聞の営業まわりをしている人なら身を持ってわかっているだろうが、今の世の中新聞紙なんて売れない。
ほとんどの専売所は夕刊の配達を止めている。
営業の人と喫煙所で駄弁っていると「お前みたいな若い奴ははやく辞めろよ」と説教される。
ライバル紙の専売所がなくなっていたなんてことも珍しくない。
それだけ不景気なのである。
景気の良い頃は新聞の専売所で正社員をしていたら月収百五十万円を超えるなんてザラだった。
配達員には無料で新聞が配られていた。
椅子に座っているだけで広告のお願いが舞い込んできた。
今や広告はネットに取られ、新聞は携帯端末で見るのが当たり前になってきている。
営業の人は言う。
「こんだけネットが普及してたら新聞なんていらないわな」。
しかし専売所の店長はそうはいかない。
売上のノルマがある以上、例え身内である社員に対してでも売らないといけないのだ。


同じようなことは他の業界でもある。
例えば家電屋や携帯ショップ。
ネットの契約数を上げるために社員に契約を迫る。
時々アホななんの需要もなさそうなデジタルフォトフレームを売りつけたりもする。
若い女の子向けのアパレルショップもそう。
社員割をちらつかせる。
働いてる子もよくわかってないのか、毎月服を買う。
買いすぎて家賃を払えなくなったなんて事例も聞く。
昨年の末は年賀状の販売ノルマがニュースに取り上げられていたが、もうどこもこんな状態なのである。
ものなんか作っても売れやしない。
売れやしないから身内に売る。
でも、本来お商売の世界で売れないものは必要とされてないものなんだから、お店は不必要なものを身内に売っていることになる。
おかしな話だ。
これをどう打開すればいいかは私にはわからない。
が、そろそろ日本の経済もバカになってきているのは確かなわけで。

いつかどこかで決壊するんじゃないかと思っている。


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