情熱大陸で猪子寿之氏の回を見た方はいらっしゃるだろうか。
その中で、枝野幸男氏が日本のカルチャーでもっとお金が儲けられる社会にしようと提案する場面がある。
猪子氏は、それに対して反発。
彼は、政府は儲けたいと言う一方でアニメやネットやアートを規制、取り締まる方向に進んでいると指摘する。
このやりとりは、あの番組内で一番の見所ではないだろうか。


今新たなるカルチャーが潰されようとしている。
「ダンス規制法」。
日本のダンス、クラブの文化を潰さんとする法律だ。
簡単に説明すると、クラブやライブハウスでのダンス行為は売買春を促進させる可能性があるため、風営法により取り締まるというもの。
矛盾することに、学校では教育の中にヒップホップダンスを取り入れる方針が定められた。
国は理由をつけて、若者文化をコントロールしたいだけに過ぎないのではないだろうか。
かくいう私も昔はダンスやクラブに対して抵抗があった。
しかし、酷いうつ病を患った頃、友人に誘われクラブに行った。
ストリート文化に無縁だった私にビールを渡してくれ、踊り方のわからなかった私に「リズムに合わせて体を揺らしとけばいいよ」と教えてくれたのはクラブの住人である。
私は適当に体を揺らすだけ。
だが、「楽しんでる? そう、良かった!」と言われたのはいい思い出だ。
そこでは、決まった形もなく、人種や職業、学歴による差別もなかった。
私が病気を告白しても「いいねえ。天才肌だね」と言ってくれた。
学校教育が未だ解決できない「差別」を全て取っ払った空間がそこにあった。もちろん、目の前で女性がレイプされたりすることは一切ない。
クラブが危険というよりも、危険なクラブもあれば、良いクラブもある。それはクラブに限定した話ではない。
思えば国は若者文化を潰す方向に動くのが好きだ。
非実在青少年問題も多くの表現者達を困惑させている。
ネットの違法ダウンロード問題もアーティスト目線で議論されているのか疑問だ。


私が高校生の頃、社会の先生が「情報化社会を担う若者を育てたいと言っている一方、携帯電話に消極的な社会は矛盾している」と言っていたのを思い出す。
それは、スマートフォンが流行るずっと前、iPod miniが店頭に並び始めた年の出来事だった。


◆参考リンク

Let's DANCE ダンスカルチャーを守るために、風営法の改正を求めます

ダンスで逮捕?ネットで指摘されてる“風営法”の謎


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